レース前半は、いつも通りマクラーレン優位に展開。つまらないままレースが終わってしまうのではと思った。いくら、ハッキネンがクルサードに押し出されて順位を大きく落としてもよっぽどのダメージがなければまた上位に戻ってくることは目に見えていたし、とにかく予選でマクラーレンとそれ以外のチームとで大きな差がついていたからだ。前半はいつも通りマクラーレンが先頭に立っていた。
しかし、結果はアーバインの通算2勝目と、予測不可能なものだった。しかも、真後ろにクルサードが迫っているところでの勝利だ。意外性のある結果に、筆者満足。お腹いっぱいなのだ。シューマッハのいないレースで手堅く勝利を手にできたことは、チームとドライバー本人にとって大きいものだったはずだ。フェラーリのテクニカル・ディレクター、ロス・ブラウンはアーバインを抱きしめて、シューマッハが優勝したときと全く同じ満面の笑みを浮かべていた。また、フェラーリ社長ルカ・モンテゼーモロ氏は、「アーバインがワールド・チャンピオンになったら自らメカニックになってやる」という声明を出している。みんな、大喜びなのだ。今シーズンの流れは昨年と違ってフェラーリ寄りだが、“ひょっとしてアーバインのチャンピオンへの流れになっているのではないか”と思うのは筆者だけではないはず。
さて、不満がいくつかあったとすれば、アレジにリタイアして欲しくなかったし、サロにもなんとか周回遅れにはならないで欲しかった。サロは、ハーバートとの接触でフロントウィングが破損してしまったのが痛手となってしまった。アグレッシブと言うより、持ち前の落ち着いた走りができたのには高い評価ができる。最初は様子見程度の戦力だろう。さらにマシン慣れして、次のドイツではいい走り、無事故に期待。そして、アーバインとそろってポイント圏内に入って欲しい。
最後にもうひとつ不満を言っておくと、2位、3位でマクラーレンの両ドライバーにそんなに暗い顔をして欲しくない。あれ誰だっけ、「優勝どうこうより健康が大切だ」とか言っていたのは?('97年ルクセンブルクのハッキネンの発言より!)