Updated on Oct. 4th, 2001. |
7日目
顔を洗って、テレビを見ながら朝食を摂ろうと思いながらテレビをつけると、アメリカ同時多発テロの特番が放送されていた。ワールド・トレード・センターに飛行機が突っ込むシーンが、繰り返し放映されていた。作り話だとしか思えなかった。
朝食を終えて、2日前の夜に夕食を食べた悠悠へ、予約しておいたおにぎりを取りに行く。これが今日の昼食だ。
この日乗ったクルーザーはきりまる(料金8,000円<3点セット無料貸し出し>)。初日に漁港を散歩していた時にきりまるが停舶していたのを見て知っていたが、奇抜なピンク色だ。船長さんは小笠原育ちの(たぶんアメリカ人)南スタンリーさん。南島の鮫池に、クルーザーごと入れるという。さらに、船体の中央はグラスボトムになっており、海中の様子が船の上から見ることができる。 ウミヘビの餌付けショーも見ることができるのが、きりまるのウリだ。きりまるは、聟島へ行ったり、母島へ行ったりと、毎日のように違うツアーを実施している。2ヶ月分くらいの予定があらかじめ決まっているらしく、筆者が泊まっていた宿にきりまるの資料ファイルが1冊置いてあった。
小笠原についての調べ物をしているときに、“イルカの船の乗り比べ”というページで、きりまるの船長さんはイルカを見つけるのがうまいという。それは本当だった。9:00頃に青灯台を出発して、30分後にはドルフィンスイムをしていたくらいだ。イルカに対するクルーザーのアプローチもうまかった。きりまるの後方から海に飛び込むと、すぐそこにイルカがいた。筆者は前日の半ズボン形の水着に替えて、いつもプールで泳ぐときに身につけている競泳用の水着を着用していたので、前日よりすいすい泳げた。 前日に海に出た船は少なく、パパヤともう一隻くらいだったようだ。だがこの日は久しぶりに晴れ、外洋の波が静まったのでたくさんの船が出ていた。きりまる船長がいち早く見つけたバンドウイルカたちに他の船がたくさん寄ってきてしまったので、午後もイルカに逢えることを期待してその場を後にし、南島へ向かった。
外洋の波はそれほど高くないが、南島の鮫池入り口は相変わらず高い。平常時からそうらしい。きりまるはこの狭い鮫池入り口が通れるように、水中に沈む部分の深さが60cmに設計されているそうだ(重心が変わりやすいので、場所を移動するときに船のバランスを少し考えて行動するように最初に言われた)。そういう設計であるとはいえ、やはり余裕はない。鮫池突入は、きりまるに乗ったときに1つのアトラクションといえる。一度静止して、波の様子をうかがって、エンジン全開でいざ突入。船長曰く、夜真っ暗でも波の音だけを頼りに鮫池突入できるという。
前日にも来た南島に再び上陸。今度はちゃんとハンディカムを手に、降り立った。前日何も撮れなかった分、何でもかんでも撮影することに務めた。結果、上のようなたくさんのきれいな、珍しい映像をおさめることができた。 2日連続で「ネムリブカは大人しいサメだ」と聞くと、思い切って近づいてみたくなった。そうしたら、説明を受けたとおり逃げられた。前日に1匹しか撮れなかったネムリブカを、たくさん群れているところを撮影することに成功した。 鮫池の後、扇池で泳いでみた。扇池の底は白い砂だけかと思ったら、岩盤があった。波に押されるし、岩盤がすぐそこにあるので、ちょっと泳ぎにくかった。水の出入りが激しいせいか、魚はあまり見られなかった。
11:30過ぎに南島を後にし、イルカを探しながら兄島海中公園のタマナビーチをめざす。前日のツアーになかった、兄島上陸に筆者ちょっとわくわくした。 タマナビーチの砂は、鶯色をしている。他ではあまり見られない美しいものだ。昼食を終えて、兄島海中公園で泳いでみた。浜から15mくらいで岩場になり、いきなり深くなっている。深浅が激しい。珊瑚もたくさん生えているし、きれいな魚もたくさんいた。やはりこの日も、水が冷たく感じた。しばらくすると体が音を上げてしまうので、浜に上がって日光浴。暖まったところで、もう一度海中公園で泳いだ。
再びきりまるに乗って、少し西の方へ移動する。グラスボトムをのぞき込むと、サンゴや魚を見ることができる。船を止めるて(おそらく前日にパパヤで来たあたり)ブイに縄を掛け、海流に流されないようにする。餌付けをする前から、魚(とくにイスズミ)が集まってくる。これは、エンジン音を聞きつけて来るのだという。台風後初のきりまるツアーなので、魚たちがお腹を空かしているという。 いよいよ、ウミヘビの餌付けショー。きりまるのスタッフの方が餌(アジだったかな?)の魚をかごに入れて、海の中に投入。そのかごに針金がついていて、船長がかごの位置を操作して、船底のガラスのところにもってくる。島の魚がたくさん集まってきた。そして程なく、ウミヘビがやってくる。船長自ら、魚の種類を説明してくれた(それをビデオ撮影していたのでここに名前を掲載できた)。餌付けショーを海中から見ることもできたが、この辺は冷たいということを知っていたので、これからできるであろうドルフィンスイムに向けて体力温存をするためやめておいた。夜の餌付けもすることがあるそうで、その時は凶暴なサメがグラスボトムに体当たりするそうだ。グラスは厚さ2cmなので、強度は大丈夫だとのこと。 きりまるは、船長の特注だと自慢していた。前述の船底が浅いのに加えて、大型クルーザーにしては大きいグラスボトム、メインエンジンがプロペラを使わないジェット式である(サブはプロペラ式)。
きりまるを下りて、大村海岸でボーッと考え事をした。手元の使い捨て水中カメラのフィルムが4、5枚残っていた。どうにか使い切りたい。そのために、もう一度イルカに逢いたいという気持ちがわいてきた。翌日はおがさわら丸に乗って帰る日だが、クルーザーによっては半日ツアーをやるはず。サザンクロスというドルフィンスイムを行っているクルーザーの事務所に電話したら、「明日はやりません」とのこと。
その足で夕食を食べに、勘佐へ。島魚寿司とお吸い物をいただく。筆者は最初、島寿司・島魚寿司どちらにするか迷った。島寿司は、サワラのづけをにぎったものなのだそう。島魚寿司は、マグロとムロアジのにぎりだった。 勘佐を出て、大村海岸へ。また星空を見上げる。 また悠悠へ。今度はおが丸の中で食べるお弁当の予約をした。この日のおにぎりが、おいしかったから。
飲食店以外の商店は18:00に閉まっているので、湾岸通りはもう静か。小笠原最後の夜。
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