Updated on Oct. 1st, 2001. |
6日目
さらにパパヤの若いスタッフから、ドルフィンスイムの注意事項を聞く。「手を使わずに、キックだけで泳いでください(ダイビングと同じだ!)。足の届かないところで泳ぎなれていない人は、ライフジャケットをつけてください。イルカの近くで泳ぐときは、合図があってから飛び込み、追い回すことなく優しく泳いでください。イルカの方から近づいてこない限り、さわらないようにしてください。」とのこと。
二見湾を出ると、とたんに波が高くなった。筆者はビデオカメラを構えていたので、水濡れが心配だった。濡れるのが怖くて一度しまったが、船の上のデッキに行けば平気だったので、そこでいろんなもの撮影することにした。
クルーザーは、一度南島の周辺まで行く。その途中、父島の沿岸を観光。(写真はないが)ジョンビーチ、ジニービーチを通過。父島の崖で、草をむさぼる野生の山羊や、雨などで削れてハート形に火山岩がむき出しになったハートロックを見ることができた。 南島に上陸する際に通らなければならない鮫池の入り口の目の前を通過したが、その周辺の波が異常に高かった。父島沿岸の波と、全く違う感じの波だった。
南島を一度離れて、父島の南東にある巽湾あたりにクルーザーは進んでいった。巽湾は、イルカの出現スポットだという。クルーザーをゆっくり動かしていると、なんとハシナガイルカという種類のイルカ(くちばしが長いことからそう呼ばれている、写真でもくちばしに注目!)がどこからともなく現れた。最初は5-10頭くらいだったのが、何十頭、100頭以上にまでその数が増えた。船長の田中さんがミスパパヤのエンジンを止めると、さらに近くまでハシナガイルカが泳いできた。 しばらくして、いよいよパパヤのスタッフの決断で、ドルフィンスイム。Tシャツを脱いで、3点セットをつけて、ミスパパヤの後ろ端に立つ。スタッフの合図とともに海に飛び込む。すると、海に飛び込んできたたくさんの人たちに驚いたらしく、イルカたちはとたんに逃げ出した。筆者が見ることができたのはたった1頭のイルカが、目の前を瞬時に横切るところだけだった。初めてのドルフィンスイムは、誰でもこんな感じだと、HPやTVで読んだり見たりしたっけなという記憶が脳裏をよぎった。スタッフによれば、「ハシナガも歓迎ムードではなかった」んだとか。 ドルフィンスイムを終えて一度ミスパパヤに上がり、巽湾の南の方にある巽島のマグロ穴をスノーケリングでくぐらせてくれた。マグロ穴というのは、岩が波で削れて穴が空いたところのことで、マグロが住み着きやすいからそう呼ばれている。水上から見ていると直径10-20メートルくらいの穴だが、実際に泳いでみると周辺の水深はそうとうあった。マグロらしきものは見かけられなかったが、きれいな魚が住み着いているのは見ることができた。こういうところでダイビングができたら、もっと面白いんだろうなぁと思った。
11:00AM頃に、南島上陸。ミスパパヤからマンボウという小船に乗って鮫池に突入し、上陸した。(※この日はカメラをミスパパヤのカバンの中に置きっぱなしにしたので、映像がない。翌日の日記に、晴れて美しい南島の映像があります!) パパヤの若いスタッフのあとについて、島の反対側の扇池を見たり、南島の真ん中で父島側にある丘に登って、景色を眺めたり、南島の自然に関する説明を受けたりした。南島は沈水カルスト地形なのだそうだ。海中にあった珊瑚礁が一度隆起し、表面が石灰化した後、地殻変動によって海の中に沈み、再び隆起したといわれている。このような地形が見られるのは、世界で2カ所だけなのだそう。 昼食後、鮫池を岸に沿ってスノーケリングした。鮫池の海水は、岩で閉じこめられているせいもあり、濁っている。なので、鮫池の真ん中あたりは、何も見えない。船の往来が予想されるため、鮫池の真ん中では泳いではならないんだけど・・・。(笑) 鮫池の鮫は、ネムリブカといって人間を襲わないと言われているが、いざ小さい頃から“サメ”の形をしたものを見ると恐怖と拒絶反応が出てしまい、ほとんど近づけなかった。この日は波が高く危険だったので、扇池で泳ぐことが禁止された。 13:00にマンボウに乗って、ミスパパヤに戻る。午後はしばらくミスパパヤ上で過ごし、ホエールウォッチングをした。父島と母島の間の海に、マッコウクジラを探しに行く。クジラを探しながら、ゴミ拾いもする。海には人間が出すゴミが、けっこう浮いている。ポリタンクや大きな網など。その網に、青に白の斑点の見たことないきれいな魚がかかっていたりして。ゴミだけ拾い、魚は逃がした。
南島から出発して45分経過した頃、ゴンドウの群れに遭遇。ゴンドウの姿形はくちばしのないイルカのようで、呼吸する頭の穴も1つしかない(イルカは2つ)そうだ。クジラというのは深海にしか住まない。ゴンドウは、海面で肺の空気の入れ換えをした後、深いところに潜っていく。深海の魚を捕食しているのだという。ドルフィンスイムというのはあっても、ホエールスイムというのはない。それは、危険だからだ。クジラの尾鰭にたたかれると、人間は骨折もしくは死亡してしまうらしい。だから、ウォッチングのみ。
ゴンドウが海の深いところに消えていったあと、15分くらい海をクルージングしていると、マッコウクジラが現れた。最初は1頭だったが、もう1頭現れた。クルーザーのエンジン音にビビったらしく200mくらい遠くへ行ってしまったが、2頭が寄り添って潮を吹くのを見ることができた。ゴンドウと同じく、肺の空気を入れ換えたあと深海へと潜っていった。 ホエールウォッチングを終えた後、クジラが意思の疎通に使うというココロケーション(!?)のクリック音を、水中マイクで拾って聞かせてくれた。文字通り「かちかち」と、パソコンのマウスをクリックするのと同じ音がした。 ホエールウォッチング中ずっと太陽が出ていて暑かったので、船長田中さんの「体を冷やしましょうか!」の一言で、クジラが泳ぐのと同じあたりの水深1,000mくらいの海で泳ぐことになった。魚はほとんど見られなかったが、透明度の高さに驚いた。筆者は次のドルフィンスイムに向けて、スノーケルをつけたままの潜水のうまい人の泳ぎを観察し、自分でも試してみることにした。透明度の高い海では、深さを見失ってしまった。気づいたら、10m近く潜っていたようだ。水がちょっと冷たかった。
ホエール・ウォッチングの海域を後にして、兄島海中公園へ行く。ミスパパヤを停舶し、海中公園をスノーケリング。水は、先ほどの海域にも増して冷たかった。それも手伝ってか、透明度がまずまずで、珊瑚や熱帯性の色とりどり(黄色、ピンク、紫、青緑)の魚をたくさん見ることができた。ショッキングピンクの魚を見て、ショッキングピンクは自然の色なんだなぁと思った。 ただ、筆者冷たい水の中に長くいすぎたらしく、上がってから温かい飲み物を飲んでも震えが止まらなかった。 その後、兄島瀬戸から二見桟橋へ戻る間、バンドウイルカに遭遇した。4回くらい同じイルカとドルフィンスイムが行われた。1回目は、初めて撮影に成功。イルカたちの鳴き声も聞き取ることができた(筆者コレを聞きたかったのよっ)。ビーっていうのが、一番近い日本語表記かな? そのイルカたちは、筆者の真下5mくらいを通過していった。2回目は、全く姿を見られず。3回目は体力温存のため一回休み。5回目は、また見られず。そのままこの日は終了。 ツアーの日程は9:00-16:00ということだったが、延長して日が暮れる直前までやってくれた。ちょっと高いツアー料金だったけど、それに見合った1日を過ごすことができて満足。
湾岸通り沿いの青灯台前にある、ボニーナというレストランに入ってみた。店内は薄暗く、往年のR&Bやジャズが流れていた(筆者好みだ)。筆者は(1人なので)、とりあえずカウンター席へ。座ったところの右側には、常連らしい60歳代の白髪のおじさんがいた。店員の若い女性が、その人と話していた。筆者はその女性の店員さんに、お決まりの台詞「おすすめは?」と言ってみる。「島魚のフライとご飯物を組み合わせるといいと思いますよ」と言われた。島魚のフライには2種類あった。チギとエチオピアだ。その場の勘で、チギに決めた。それと、エビピラフを頼んだ。一品料理を2つ頼んだので2人前の量だったが、本当に疲れていたのと、明日に備えて体力をつけておくのにいいかなと思った。チギは白身の魚で、脂身が少ないわりに柔らかく、あっさりした(南国の魚らしい)食感。ソースをつけて食べた。店員の方とお話ししているうちに、「サザンクロスのドルフィンスイム、いいですよ」ということを聞いた。最終日、もし半日ツアーがあれば申し込んでみようかなと思った。 宿への帰り少し回り道をして、大村海岸のベンチに座った。空を見上げると、プラネタリウムでしか見たことのないほどの星が一面。東京では全く見られない天の川が、小笠原の夜空にふつうに見えた。しばらく、星空に見とれ、心を静めた。
宿に帰って、21:30には就寝。肉体的にも疲れていたが、水中で自由に動けないことに精神的に疲れてもいた。
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